アイシング(冷却・冷やす)の目的・効果について

アイシングの目的

◆冷やすとどうなる?◆

ケガをしたとき、アイシングをした方が良いと思っている方が多いと思います。ケガの直後にアイシングをすることで、血管を収縮させ血液の漏出を最小限に抑えることで内出血を抑えます。これは腫れを抑えることにもなります。また、痛みに対して対処する形になります。これは、アイシングによって皮膚感覚を麻痺させることにより、痛みを感じずらくさせることで痛みの抑制になります。しかし、回復のためには血流循環が良いことがあげられます。

 

血液の中には、回復に必要な栄養素がたくさん含まれます。この栄養素を損傷部分に届けるためには、血液循環が促進されたほうが良いです。しかし、アイシングは冷やすことで血管は収縮して血液循環は低下します。こうなると矛盾してしまいますね。

 

冷えて不調の時にアイシングはしないと思いますが、夏場に同一姿勢で筋肉が固まってしまった時に痛むなどの場合はどうしますか?簡単に判断する場合、ケガ直後の応急処置に関してはアイシングを用います。これに対し、血液循環が悪いことによって起こる不調の場合は温めた方が良いでしょう。ただ、全てに当てはまるわけではないので、必要であれば医療機関を受診して専門家に診てもらった方が良いでしょう。

 

では、ケガの直後からいつまでがアイシングで、いつから温めた方が良いのか?アイシングの適応時期は炎症期の間といわれることが多いです。これは、ケガにより軟部組織と呼ばれる筋肉・靭帯・腱・関節包などの組織が損傷し、内出血が起こります。この出血の血が栄養を運び、組織の回復のために必要なものが集まり熱を発生します。これが起こっている内は炎症期となります。だいたい2~3日くらいと推測されます。

 

この炎症期にしっかり対処すると回復の早さに大きな差が出ます。

アイシングの効果

◆ケガの直後以外にも活用できます!◆

アイシングは、ケガ直後の炎症期に行うことで腫れるのを最小限にとどめたり、感覚を鈍らせることで

痛みを抑制する効果が認められますが、炎症期以外でも効果ある対処方法があります。

 

ラグビーの全日本合宿などで活用されていて、TV報道されているのを見たことがある方もいるかもしれません。アイスバスといってラグビー選手の下半身がしっかり埋まるくらいの深さがあるポリバケツの特大版のような容器に氷水を張って中に浸かるもので、練習直後の高熱を持った身体を一気に冷やすものです。

 

このアイシングによって血管を一気に収縮させますが、冷たすぎると痛くなる経験をされたことがありますか?アイシングにより痛くなるのを感じなくなるまで冷やすことで、血管をしっかり収縮させることができ、このアイシングから開放されたときに血管は一気に拡張していきます。

 

この際、急激な血流が発生して身体の各部位に滞っている老廃物や疲労物質を一気に流してくれます。この強い血流により、回復を図るという目的が成されます。

 

スポーツの現場ではアイシングの理論が適応されないケースもあります。これは、冷やして血管を収縮させることで血流を悪くしてしまうという理論からの対処になります。血流という点から考えると冷やして血流を悪くすることはしない方が良いとなり、腫脹(しゅちょう:腫れること)を抑えるためには圧迫をした方が良いという考え方になります。

 

近年のヨーロッパにおけるプロサッカーなどでは、足首のひどい捻挫でもアイシングはせず、すぐにバンテージなどで圧迫処置をして腫れを抑えるだけで固定もせず、すぐに動くように指示を出します。腫れを抑えて固定もしないので関節が固まらないため、早期に運動復帰が可能となるのですが、損傷した靭帯の修復はできないので、テーピングやサポーターなどを使って関節を安定させる必要があります。一般の方であれば、しっかりと靭帯修復させる必要がありますが、プロ選手は高い給料をもらっているため、その分の仕事をするために早期運動を可能とするための処置内容となります。

 

どちらが良し悪しというものではないので、治療の専門家に応急処置として適正な処置を行ってもらえれば問題ありません。

アイシングの注意点

◆凍傷(とうしょう)の恐れがあるのでご注意を!◆

アイシングは冷やすだけのことかもしれませんが、ケガをした部位の皮膚表面に密着するような形をとる必要があります。氷のように形が様々な物では、患部に当てた際に氷の凸部分が強く当たります。また、身体の骨が出っ張っている部分なども同じ様に強く当たってしまいます。この凸部分だけに当たっているようだと、その部分だけが冷えすぎてしまい凍傷となる恐れがあります。無理に我慢してアイシングをすることは避け、安全にアイシングを施すこともお考えください。

 

袋に入れた氷やアイスノンなどの保冷パックを、直接患部に当てても良いのですが、冷えて痛いのは避けたいという方は、濡らして絞ったタオルやハンカチなどを厚さを調整して当て、その上から冷却をしていただくと冷た過ぎるというのは防ぐことができると思います。

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